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オダピン社長ブログ

2014.06.05『伝える』から『伝わる』へ

当社の取引先である岩手銀行さんのシンクタンク「岩手経済研究所」の発行している、岩手経済研究の6月号に、掲載されました。

kiji

以下に、全文掲載します。

 

 

『伝える』から『伝わる』へ

株式会社 小田島組

代表取締役 小田島直樹

 

自分にとっての会社経営とは

株式会社小田島組を、創業者である父から社長として引き継いで11年になります。その間、いろいろな経験により、少しずつ自分の経営の目指す輪郭がはっきりしてきました。なんといっても一番は「社会の中で、価値のある(稼げる)社員を育成したい」ということです。また、そういう人を増やすことにより「まちの元気」につなげていきたいのです。社会的な活動に携わってきた経緯もあり、この「まちのデザインへの参画」ということも、強く意識します。

建設業は恵まれている

当社は公共工事を中心とした建設業です。私は、非常に恵まれた業界であると思っています。なんといっても、税金で仕事をさせていただくので安定しています。来年のマーケットがある程度分かるのです。また、仕事も会社の規模別にA級とかB級とか分かれていて、大手さんと競争することがありません。これが、まちの電気店や薬屋さんだと、大手チェーン店と競合して戦わなくてはいけません。そして、その戦いのほとんどは圧倒的に不利な戦いに臨まざるを得ません。ところが、わが業界はしっかりとルールで守られています。大手と戦わなくても生き残っていけるのです。そのため、非常に競争意識が薄い面もありますが。強い組織は「自立した人」が集まって、相乗効果を発揮してさらに強くなります。「自分では生きられない人」が集まって、他人を頼りにする人ばかりでは、結局は何でも他人のせいにして組織は維持できなくなります。誤解無き世に言いますが、福祉は重要で、弱者は救済されるべきです。しかし、残念ながら会社経営に福祉の概念は当てはまりません。誰かが助けてくれるだろう、という経営者は淘汰されます。逆に淘汰されない社会は不健全です。当然、我々の業界も健全な社会を目指していると信じています。

社員教育しかない

さて、その競争に勝つために選んだ手段は「社員教育」です。中小企業にとっての財産は「人材」しかないのです。まあ、中には「人財」と「人罪」の両方がいますが。当社では、私の方針を理解してもらうために、社長勉強会などを行っております。社員どうしでも勉強会を行っていますし、外部研修も受けます。さらには、定期的にロールプレイングによる訓練も行います。また、内定者にまで相当のお金をかけて研修を受講させています。当社の内定者は、同級生から「お前の会社はすごいな。何度も東京に行ったり、こんなに研修があって」と一様に驚かれるようです。なぜかというと、ライバルとの戦いにおいて、戦うのは社員であり、お客様に支持をされるのも社員であるからです。ですから、当社の経営計画書にはこんな一文があります。

『当社にとっての一番の商品は社員です』

そしてそんな社員たちが成長して、社会の中で価値のある人間になってくれることが私の喜びです。

伝えるから伝わるへ

そんな社員が働く組織の、環境整備も重要です。人間の行動は「意識したもの」と「無意識のもの」がありますが、教育できるのはこの「意識したもの」です。しかし、残念ながら人間の行動を支配しているのは「無意識のもの」です。「意識-思考(頭)-言葉」に対して「無意識-身体-感覚」となります。私は、この意識の部分を徹底的に教育しています。それは、無意識の行動につなげるためです。実は組織も同じで、この意識レベルから無意識レベルへの成長が大切です。例えば、情報は「伝える」から「伝わる」組織にしなくてはいけません。何回も伝えることは労力も必要で、長続きしません。高いところから低いところに水が流れるように、伝わるレベルまで高めてこそ、社員が活躍できる組織になりえます。さらに言うと、利益についても同じことが言えます。利益を上げる組織、ではなく利益が上がる組織に脱皮しなくてはなりません。言いかえると経営者の仕事は、利益が上がる組織の維持、ということになります。そのためには、お客様に教えていただくという、健全な競争をし続けるしかありません。ですから、脱皮の精神で社員教育を継続しているのです。

将来の夢

私は、会社の社員の人数か売り上げの規模で地元の行政を抜くのが夢です。北上市の、職員の数か予算を抜いてみたいものですね。それは、私にとっての何よりの「自分を育ててくれた地域への恩返し」でもあります。また、組織については「社員が育ち続けて、利益が上がる会社」になりたいですね。「利益を上げる」レベルから「利益が上がる」レベルになると、社員も安心して働くことができます。中には、スーパーマンにみたいな社長が会社の利益のほとんどを上げてくる会社、もあるかと思います。しかし、そういう組織では社長に何かあると一大事になります。やはり、それでは社員やその家族が安心できる組織とは言い難いでしょう。そのために、組織を整備して社員の皆さんが安心して働ける環境を構築したいのです。

私にとっての会社経営は人生そのものです。いつの日かバトンを託す日が来た時に、人生を振り返ってどんな気持ちになるのか、今から楽しみにしています。