転職が簡単にできるのは、素晴らしいことです。職業選択の自由を簡単に行使できるのは、資本主義の国としてあるべき姿です。
さて、だからこそ大切な視点があります。まず、転職をする理由を考えてみましょう。よくある理由(誰でも思うこと)は、
1.何か嫌なことがあったから
です。これは誰もが経験があるでしょう。
もちろん、程度問題はありますがこんな理由で辞めても、次の会社でも同じことがあり得るので、キリがない話になってしまいます。一番良い結論は
「会社を変えるではなく、自分の考え方を変える」
ですね。
さて、次の理由は
2.今の仕事ではない職業をやりたいから
例えば、今は建設業をやっている。しかし、自分の親の介護を通じてこの業界に興味を持ち、自分の人生を賭けてこの介護業界をなんとかしたいと思った。
これは、理解できます。特に若いうちは、そう思うこともあるでしょう。その場合は、早いほうが良いです。こう言う場合こそ、職業選択の自由を行使すべきです。
ただし、今までのキャリアが無駄になるので、収入は下がるのは覚悟しなくてはなりません。ですから、若いうち、早いうちと言ったのです。
次は、一番大切な話です。
3.自分の待遇をあげたいから
これが転職理由の90%だと思います。直截的に言うと「年収が高くなる」です。
これも、「給料が高くなる」と「年収が高くなる」が違うことを理解できていない人が多いですね。いくら給料が高くなっても、年収が高くなくては意味がないですよね。
でも、理解できない人が多い。。。。もっと言うと、可処分所得が大切です。
さて、年収(可処分所得)が高くなるための条件を書きます。
(1)会社が発展している(経営者のヴィジョンがしっかりしている)
(2)経営方針が社員重視である
(3)評価基準が明確である
(4)自分が成長できる環境がある
が挙げられます。ところが、目先の「月給40万」とかの言葉に騙されて転職する人が後を断ちません。
いくら月給が40万でも(1)を満たしていなければ、給料の上がり方が
10→10→10→11→11→11→12
です。(1)を満たしている会社なら
8→9→10→11→12→13→14
なのにです。
(2)を満たしていないと、いくら稼いでもお金は社長の懐に入り、社長の車が
国産車→外車→ベンツ→奥さんまでベンツ
となるだけです。
(3)を満たしていなければ、給料が上がるのは
社長が好きな人
だけで、嫌われたらどんなに仕事をしても評価されず、給料が上がりません。また、何を頑張ればいいのかわからない状態です。
さて、一番大切なのは(4)です。自身のスキルアップがなければ、給料が上がりません。
単純な話をすると「仕事ができない人に高い給料を払う」会社は、倒産に向かってまっしぐら、です。
そして倒産すると、給料ほどのスキルもない社員は、路頭に迷い闇バイトに手を出すとかが関の山です。
これが転職を考えている若者に送るアドバイスです。特にも、中小企業なら経営者を見るのが一番です。その会社の社員に聞けるなら聞くのが一番です。
また、再度自社を振り返って上記の(1)から(4)を見直すことも大切です。大切なのは、生涯年収であり「来月の月給」ではありません。
特にも、そのために大切なのは
仕事(人生)=能力*熱意*考え方
の、考え方、です。極端な話、これを学べる環境がある会社が一番良い会社です。
大企業はこれが「社風」という形で存在しています。中小企業の場合は、多くは経営者によります。
ここさえ押さえておかないと、目先のことを気にして、生涯年収が下がる道になりかねません。言い方を変えると
会社に存在すること=給料の源泉
ではありません。
○会社を通じてお客様に貢献したこと=給料の源泉
なのです。
極論は、貢献した量が年収です。これも大切な考え方です。そして、貢献するために必要なのが(1)から(4)なのです。
若者たちに「転職のお誘い」がたくさん来るように、当社にもたくさんの「こんな転職者いますよ」というメールが来ます。
その多くは、リピーターです。転職を斡旋すると1回で数百万という金が転職会社に入ります。
ですから、そういう会社は、転職を繰り返すリピーターをとても大切にします。それはそうです。1回で数百万ですから。
繰り返しますが、職業選択の自由はあります。しかし、急激にこの転職市場が拡大したために、上記の様な歪みも生じています。
これが私が考える、正しい転職の勧め、です。